【怖い話】いつも隣に止められている放置自転車

俺はチャリで通勤していたことがある。

今は原付に乗っているが、

チャリからそれに変えたのは

妙な理由があったからだ。

 

俺の勤め先は駅のすぐ側にある。

便がいいので、

いつも駅の自転車置き場にチャリをとめていた。

 

有人ではあったけど、

すみっこには放置自転車が

何年も埃を被ってるようなところだった。

ある時、俺が帰ろうとすると、

隣に埃を被った自転車がとまってた。

 

サドルの横に、

油性ペンで『Anri』と書かれた

オレンジの子供用自転車。

 

Anriのiの点をハートで書いてあって、

いかにも子供のってかんじだった。

 

あれ、おかしいな。

埃被ってるってことは放置自転車だよな。

何で隣にあるんだろう?

と思いつつ、家路についた。

次の日も同じように、

その自転車置き場にとめた。

 

そしたらまた、

帰りにはそのオレンジのチャリがある。

それが一週ほど続いた。

 

何となくいやになってきて、

その次の日から、

一番入り口に近いところに置くようにした。

 

誰かのいたずらだったら、

事務所から見えるとこに置くのが

得策だと思ったから。

 

そしたら帰りには、

また隣にそれが来ている。

 

しかも、今度は百均で売っているような

チェーンロックで、

そのチャリと俺のチャリとを繋いでとめられている。

 

鍵もないし、

あったとしても開きそうにないような

錆びたやつだった。

 

管理してるおっちゃんに聞いても、

妙な人はいなかったし、

おっちゃんが動かしたわけでもないらしい。

 

聞けば、そのオレンジのチャリは

二年ほど前から持ち主が現れてない、

正真正銘の放置自転車だそうだ。

 

おっちゃんも首をかしげつつ、

チェーンロックを切るために

ペンチを探しに行ってくれた。

 

戻ってくるまでに用を足したくなって、

俺は自転車置き場のトイレを借りた。

ああやれやれ、

と思いながら出てくると、

チェーンロックもオレンジのチャリも

そこから無くなってる。

 

時間にして一分くらいの間のことだ。

戻ってきたおっちゃんと

もう一度首を傾げて帰った。

 

次の日、放置自転車の中を探すと、

オレンジの自転車がやっぱりあった。

 

でも、それはどう見ても

動かされた様子がなかった。

 

タイヤも埃被ってたし、

手の形に埃が払われてるところもなかった。

 

気味も悪いし、

ちょうどボーナスもでたしで、

専用の駐車場が使える原付を買って、

それっきり自転車置き場にはいっていないが、

なんだったのか。

 

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