【怖い話】イカれた経営者

13年前、高校時代の話。

それは、初めてのアルバイト先での出来事。

当時、高校一年生でした。

 

東京郊外、稲城市にある

国道沿いのうどん屋。

 

値段は若干高いが味も良く、

店の雰囲気も悪くなかった。

 

ただ、そこの経営者が

ちょっと変り者だった。

 

「甘いもの食べると頭が馬鹿になる」

「知り合いに神様がいる」

「刀で斬ろうとしても俺を斬れない。刀が避ける」

「飯は5分で食わないとダメ人間って言われちゃうよ?」

 

などなど、冗談のような発言を

真顔で言う。

 

知り合いの神様の話を聞かされた時は、

背筋が寒くなった。

 

40代のいい大人が

真剣に冷静な顔をしながら、

 

「神様が来たら公園の噴水が一斉に噴出した。

あの方は本当に凄い」

だと。

 

目は据わってるし、

チラリとも笑わない。

 

16歳ながら、

あぁこの人ヤバイなと思った。

 

適当に話し合わせておかないと

何されるかわからないと思わせる雰囲気。

 

程なくして、

もう少し危険な体験をした。

 

俺が経営者の意に適った対応をしたためか、

奴の言動はエスカレートしていったようで。

 

「気を込めると普通の何倍も力が出る。

試してみよう、俺の手を思いっきり握ってみな」

 

当時の俺は、体格も筋力も

一般的な男子だった。

 

腕相撲は強い方だったので、

筋力だけは多少強かったと思う。

 

だが、奴の腕はそんな俺の倍はあると

思わせるほど太かった。

 

その頑強な体格の経営者の手を握ると、

コイツ何を思ったか思いっきりその強靭な握力で

俺の手を握り締めてきた。

 

相変わらず顔は無表情。

目は据わってる。

 

「全然力は入れて無いよ。気の力だけ」と、

あさっての方向を向きながら呟く。

 

「いや、凄い痛いです・・・。ちょ、痛いです」

表情を変えないまま奴は手を離した。

 

「神様はもっと凄いよ」

そう言った時も奴は眉ひとつ動かさなかった。

 

完全にオカシイと思ったが、

他のアルバイトの先輩たちは普通の人だったので、

辞めるに辞められず、ズルズルと続けていた。

 

半年くらいそのバイトを続けていたが、

とうとう経営者が日本刀を店に持ってきた。

「これで俺の事を斬っていいよ。斬れないから」

 

そう言って、

日本刀を俺に差し出した。

 

模造刀かどうか確かめる事も出来なかったので、

ちょっとわからないが、いわく本物との事。

 

「上に構えて、頭の中心を真っ直ぐに斬ろうとしてみて。

刀が俺の体を避けていくから」

 

仕方なしに俺はその通りに刀を動かした。

もちろん、ゆっくり。

 

何の抵抗もなく頭に触れそうになったので、

「あっ!」なんて演技をしつつ、

刀を滑らせて奴の体に当たらないようにした。

 

「だろ?」

奴は初めて少し微笑んだ。

 

元々、嫌な奴でもないし、

経営手腕は有るし、店は流行っていた。

見た目も普段は普通。

 

清潔だし髪も短髪、白のポロシャツとか

服装も本当に普通。

 

誓って実話なので超常現象は起きていないが、

この経営者はマトモじゃなかった。

 

結局、俺は5、6回も奴に向かって

日本刀を振りかざし、わざと外した。

苦痛だった。

 

しかし、営業時間に店の裏口の外で、

アルバイトに日本刀を振らせて、

「な、当たらないだろ?」と、

据わった目で無表情にあさっての方向を見ながら

そんなことを言う経営者が居るだろうか。

居たんだよ。

 

知り合いの神様が

何の宗教かも分からないし、

その経営者が

何の宗教を信奉していたのかもわからない。

 

だが、2チャンネルやってる奴やオタク、

ニート、引きこもりなど、

世間では色々「怖い」と言われる事もあるが関係ないよ。

 

バックグラウンドなんて関係ない。

オカシイ奴は、そこら中に居るんだと思う。

ただ、気付かないだけで。

 

むしろ、2チャンネルなんかの連中は

「まとも」「普通」だと俺は思ってる。

 

本当に怖い奴らは普通の顔して、

俺たちのすぐ隣に居るよ。

 

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