【ゾッとする怖い話】空き地のドア

僕が小学4年生の時、

夏休みも残すところ

あと1週間と少しといった時の話です

その日は台風が近づいていたため、

朝から風が結構強かったです。

 
僕は9時半ごろに起きて、蒸し暑い中

朝ごはん代わりの雑炊(カニ味)をすすりながら
夏休みアニメ劇場を見ていました。

 

何度も再放送されている

あさりちゃんやかぼちゃワイン、

パーマン、ハットリ君などを

ぼんやり見ていましたが、

やがてアニメも終わり

することがなくなった僕は、
しばらくの間畳の上で

ごろごろ転がっていたのですが、

ふとあることが気になり始めました。

 

(そういえば家の近くの山を登って

しばらく行ったところにある空き地って、
いつも強い風が吹いてるなあ。

台風の日なんかもっと強い風が吹いてるんかなあ?

どうしよっかなあ。

行ってみよっかなあ。)

 

という考えが頭の中に広がって、

気になってしょうがなくなってきたので、

僕は家で飼っていた「プチ」という犬を

散歩させるついでに見に行いくことにしました。

 
空き地と言う表現は

間違ってるような気がしないでもないですが、

まあとにかくひらけたとこです。

 

僕が外出の準備をしていると、

母が「台風来てるのにどこ行くん?」と

聞いてきたので、

僕は「ちょっとプチの散歩に行ってくるわ」と答えると

母は「もうすぐ昼ごはんやし、

雨降るかもしれんから早めに帰ってきいや」

と言いました。

 

外に出ると生ぬるいながらも

結構涼しい風が吹いていたので、

家の中よりも快適に思いました。

 

空一面にはどんよりした重苦しい雨雲らしきものが、

結構なスピードで流れていました。

 

僕が犬小屋のプチに

「散歩行くぞ」と声をかけると、

「ワグ」っと小さく吠えて、

のそのそと出てきました。

ちなみにプチは当時2才半ぐらいだったので

立派な成犬(雑種)でした。

 

父が飼い始めた犬で

一応僕にもなついていましたが、

僕より賢そうなとこが

気に食わなかったので、

僕にとっては

愛犬というほどのものではなかったです。

 

僕の家は山の斜面を切り崩して

作ったような所に建っていて、

玄関を出ると坂道になってます。

 

その坂道に沿うように

よその家が連なっています。

 

坂道を登って行くとやがて民家はなくなり、

木がいっぱい生えていて

森っぽくなってくるので、

一応そこら辺からを山と呼んでました。

 

話を戻します。

プチのヒモを掴んで

外に出た僕は大きく背伸びをして、

ついでに大きくアクビもしました。

 

その途中に隣の家から

「●●君どうしたん?プチの散歩ー?」と

大きな声で僕を呼ぶ声がしました。

 

見ると、幼馴染で1つ年下のK子が

2階の窓から顔を出していました。

 

ちょっとびっくりした僕は

「う・・ん、ちょっと散歩でそこまで」と言うと、

K子は「あたしも行くからちょっと待っててー」と言って、

顔を引っ込めると

階段をドタドタ降りる音がして、

何か喋る声が聞こえ、

出てくるのかと思えば

また階段のドタドタが聞こえ、

3,4階階段を上がったり下がったりの音がして

やっとK子が外に出てきました。

その間5分ほどです。

僕が「遅いやないけー」と言うと

K子は「まあまあ、気にせんと・・・」

と言いながら、

すり寄ってくるプチのペロペロ攻撃を

器用にかわしていました。

K子は右手に

手さげカバンらしきものを持っていたので、

僕が「何それ?」と聞くと、

K子は「いいからいいから、はよ行こう」

と言ったので,

僕は別に気にすることもなく

目的地目指して歩き始めました。

 

その間「宿題はもう済んだのか?」

「昨日の夜ご飯は・・・」

「雨降るかなあ・・・」

「この前のひょうきん族が・・・」

「台風のおかげで虫にさされにくいなあ・・・」

「どこまで行くの?」

「上のほうのいつも風が強いとこ・・・」

「ああ、そういえば・・・」

などのくだらない話をしていました。

 
やがて目的地の空き地にたどり着きました。

予想通りというかなんというか、

道中も台風のせいで風が強かったのですが、

空き地の方は普段の何倍も

強い風が吹いていました。

 

プチは風の強さに興奮して走り回りたいようなので、

ヒモを放してやるとワンワン吠えながら

おおはしゃぎしていました。

 

当然僕もK子もキーキーキャーキャー喚きながら、

風圧で顔をくしゃくしゃにして

腕を広げて追い風でジャンプしたり、

グルグル回ったりして遊んでいました。

そのままキャッキャと遊んでいると、

いきなりドガッシャーンっと

物凄い音の雷が鳴りました。

 

一瞬で一同石化って感じです。

それは文字通り一瞬のことで、

プチはすぐに空に向かって

わんわん吠え出し、

K子は泣きそうな声で

「こわいーこわいー」

と言いながら

僕にしがみついて来ました。

 

普段であれば雷など平気なK子ですが、

山の中で波打つ草木に囲まれての雷には

かなり恐怖を感じたようです。

僕は「大・・丈夫、大丈夫やんけホラ~」と言うと、

K子は「エヒヒヒ…」

と照れ笑いをして手を離しました。

 

安心したのもつかの間、

今度はポツ…ポツポツポツドバーと

大雨が降ってきました。

僕が「雨や、あそこ行こ!あの木の下!」

と言って近くの大木に向かって走ると、

K子は頭を押さえて

芝居がかった口調で

「ヒィーーー」と言いながら、

僕の後ろからついてきました。

さらにその後ろからはプチも

ハァハァ言いながら付いてきて、

2人と一匹で木の下で雨宿りです。

 

K子は「すごい雨やなー」

と言いながらハンカチで顔を拭いていました。

 

僕はハンカチを持ってなかったので

腕でぬぐいました。

 

僕が「もう少ししたら弱くなるかもしれんから、

それまでここで雨宿りしとこっか?」

と言うと

K子は不機嫌そうに

「うーん・・・」と返事をしたあと、

「はーあ」とため息をつきました。

 

それで二人して空き地のほうを見つめていました。

空き地は幼稚園の運動場程度の広さで、

背の低い雑草がそこかしこにはえています。

 

特に遊べるような作りにはなってないので

普段からここに来る人はあまりいません。

 

…ふとK子の方を見やると、

ほんのり膨らんだ胸の辺りに

2つの突起物が目に入りました。

 

雨に濡れたせいで

透けて見える2つのBT区……

僕の目はそれに釘付けです。

 

しだいに幼い僕の頭の中は

良からぬ妄想でいっぱいになりました。

 

すると一転を見つめる僕の視線に気づいたK子は、

「どうしたん?」と聞いてきました。

 

びっくりした僕は

「え?っと・・・腹減ったなあって思って・・・へへへ・・・」

と言うと、

K子は手さげかばんを両手でつかんで

「あれ?なんでわかったん?見たん?」

と言ったので、

僕は「え?う・・それって?…‥」と、

冷静さを失った僕をよそに

K子は「じゃーん!!クッキーの缶ーー」と言って、

かばんの中から

大きなクッキーの缶を取り出しました。

一瞬で安心した僕は

「おおでかした!腹減った!くれ!」と言うと、

K子はニヤニヤしながら

「きのうの夜みんなで食べたからー残り8個ー」と言って

ふたをあけると、

本当に8個しか入ってませんでした。

1つが500円玉くらいの大きさでした。

 

僕が「何個くれんの?」と聞くと、

K子は「んーと、あたしが4個で、

●●君とプチが2個ずつな。」

と言ったので、

僕が不満気に

「プチに2個?」と聞くと、

K子は「プチもお腹すかしてるんやから2個ずつ!

私は4個!」と

強い口調で言ったので、

僕はしかたなく「へーい」

と答えました。

そしてK子は

「配給のお時間でーす」と言って、

クッキー2個を

まずプチの目の前に置きました。

するとプチは一口で

モリモリムシャムシャと食べてしまいました。

 

次は僕の手の平に

クッキー2つが置かれました。

 

そしてK子は「K子お嬢様は4つ」と言って、

自分の手の平に

クッキーを4つ乗せました。

 

と、その瞬間プチが寄ってきて、

K子の手のひらを舐め取るようにして

クッキーを奪い取ると、

木の裏に逃げていきました。

K子はキレそうな表情で半泣きになると

「あたしのクッキー、

あたしのクッキー取られたぁ」

とわめきました。

 
僕はK子にもらったクッキーを

すぐに口に入れて、

「えー?(モグモグ)何ー?

どうか(モチャモチャ)したー?」

と言うと、

K子は「もう!あほぅ!飼い主がわるいんやろ!

どうしてくれんのよ!」

とキレまくりでした。

 

僕は「まあまあ…プチもお腹すかしてるんやから」

とK子がさっき言ってた言葉を

そのまま言い返しました。

 

木の裏ではプチが大雨の中でも聞こえるように、

ガフガフとわざとらしい音を立てて

クッキーを食ってました。

 

K子は「ムカつくわー腹立つわー」

とボソボソつぶやいてました。

 

するとクッキーを食べ終えたと思われるプチが

急にワンワン吠え始めました。

 

いったい何事かと思って、

僕とK子は木の裏に回りました。

 

するとプチのすぐ目の前に

なにやら小さな小さな竜巻の様なものが

うず巻いてました。

 

ビール瓶を逆さにしたような大きさでした。

土のカスや枯葉の切れ端がクルクル回っています

 

僕は「なんやろこれ?」

と言ってその竜巻に手を突っ込んでみました。

 

続いてK子も手を突っ込みました。

さらにプチは竜巻に向かって

体当たりをしましたが無論素通りしました。

 

二人して「なんやろなーなんやろねえ」

などとほざいてたら、

なんだか視界がザラザラになってきたように思い、

目の前の風景や

自分の手さえもがなんだかよくわからない

ぐちゃぐちゃな状態に見えて、

何が何だかわからなくなってきました。

 

僕は必死になって

ぐちゃぐちゃに見える

K子らしきものの手を握り、

プチのヒモらしきものを掴み

「離れんなよ!」と叫びました。

 

K子も僕と同じように視界がおかしくなったようで、

「目が変や」と言いながら

目をこすってるようでした。

プチもワンワン言いながら暴れていました。

 

どうしたらいいかわからなかったのですが、

木の裏にいてると

向かい風のせいで雨にかかるので、

とりあえず元の場所に

K子とプチを引っ張りました。

 

ここだと木が盾代わりになるので、

雨も風もある程度防いでくれるのです。

 

K子は不安と恐怖のせいか

フーフーハーハーと荒い息をしながら、

うずくまって目をゴシゴシしているようでした。

 

僕は何か助かる方法はないかと、

周囲を見渡しました。

 

目の前に広がるのは

緑色のグチャグチャな景色でした。

 

しかし遠くの方の木らしき物に、

なにやら長方形のドアが付いているのが

はっきり見えました。

僕が「おい!あれ見い!」と叫ぶと、

K子は「あれ?あれ・・・ドアがあるー!」

と言いました。

 

僕はすかさず「行ってみよ!!」

と言って、K子の手と

プチのヒモをしっかり握りなおすと、

ゆっくり歩き出しました。

 

風が強すぎるのとキツイ雨、

さらに視界がぐちゃぐちゃなため

転んで怪我しそうだったので、

ものすごくゆっくり歩きました。

 

ドアの所に辿り着いた時には、

もう当然びしょ濡れです。

 

はっきり見えるそのドアは

どこにでもありそう木目調のドアで

金属製のノブが付いていました

僕はドキドキしながら

ゆっくりとドアを開けました。

 

ドアを開けるとその中には

白い地面と夜の景色、

そしてどこかの林の中のようで

木がいっぱい生えているのが見えました

どうやらドアの向こうは

グチャグチャにはなってないようです。

K子はびっくりしたように

「うわー」と言いました。

 

僕は「行こ!」っと言って、

まず一番にドアをくぐりました。

続いてプチ、K子と入ってきました。

 

K子もプチもドアをくぐった瞬間

ハッキリした姿で見えました。

 

もちろん僕の手足もハッキリ見えました

ドアの方を振り返ると

今までぐちゃぐちゃに見えていたはずの景色も

元に戻っていました。

ただ僕もK子も多分プチも、

さっきの後遺症が残ってるのかはわかりませんが、

体が少しフラフラして

酔っ払ってしまったような状態になりました。

 

例えて言えば

カシスオレンジ2本を

一気飲みしたような感じです。

 

視界ははっきり見えるようになったのですが、

今度は意識が

少しおかしげになったのです。

 

僕がフラフラしながら

「ここどこやろ?」と言って、

空を見上げると

木々の枝の隙間から星空が見えました。

 

そしてその空からは

白い物がゆっくりと雪のように

降っていました。

 

手で受けると冷たくなくて、

解けもしなかったので、

雪ではないようでした。

地面はその白い物で

覆われているようです。

 

そしてまわりは並木道の様に

木が並んで生えていました。

 
もう一度後ろを振り返って全体を見渡すと

配電室のような

小さなコンクリート製の建物に付いてるドアを

僕たちは通ってきたようです。

 

K子が周りを見渡して

「きれいやねー 今は夜みたいやから、

ここ地球の裏側の国かもしれんねー」

と言ったので
僕が「地球じゃなくて、日本の反対側やろ?」と言うと

K子は「ああそうかー、

そうそうそう日本の反対側にある

国かもしれんねえ・・・ぷははは」

と笑い出し、

地べたにゴロンと仰向けになって、

なおも「ひゃははは、クーックク」っと

笑い続けました。

 

プチはぐにゃーっと寝そべってます。

それを見た僕も、

安心したのと酔っ払ってるような現象のせいで、

K子と同じように仰向けに寝そべって

一緒になって笑いつづけました。

 

そしてしばらくケラケラ笑ってると、

その場にいきなり女の人の声で

「ちょっとあんたら何してんの!?」

という声が響きました。

 

その声に、笑っていた僕もK子も

飛び起きました。

 

見ると両手に買い物袋をさげた女の人が

5mくらい離れた所から

びっくりした様な表情で

こちらを見つめていました。

 

僕はしどろもどろになりながら、

「えっ・・・と、あの・・その・・

ここどこですか?日本人ですよね?」

と聞きました

 

女の人は「ここは地面の中やから

地下の世界かな?

あんたらはどこから来たん?

名前はなんていうの?」

と聞いてきたので、

僕は「僕は●×●●10歳デス。

えっとそれから・・こっちのこっちの・・・」

と言ったところで、

K子の姓をド忘れしてしまったので、

言葉に詰まってたら

K子が僕の肩口からヒョイと顔だけ出して、

「あたしは◎◎K子9才です!!」と言ったので

僕は寝そべってるプチを指差して

「こいつはプチって名前です!えーと、

ボクたち日本の何々県の××市から来ました!」と言うと、

K子がまた顔を出して、

後ろを指差し

「その、そこのドアから入ってきました!!」

と言いました。

 

女の人は

「へえー・・・ちょっとあんたら、

私の家近くにあるんやけど遊びにこん?」と

言いながら近づいて来ました。

 

僕とK子が顔を見合わせてると、

女の人が「あんたら濡れてるやん!

寒いやろう?

うちに来て風呂でも入り」

と言いました。

 

するとヒューっと風が吹いて、

なぜ今まで気づかなかったのかと思うくらいに

寒気を感じました。

 

僕とK子は小声で

「行く?行こっか?」

とやり取りした結果、

このお姉さんについていくことにしました。

 

お姉さんをよくよく見ると、

20代前半のようで色白でかなり美人で、

目がきらきらしていて、

つやつやした黒い髪が

肩より少し下くらいまでありました。

 

そして何よりも僕の目を釘付けにしたのは

お姉さんの爆乳とそれによって

生じるスベスベの胸の谷間です。

おねえさんは真っ黒いドレスのような、

今で言うゴスロリという種類の服を着ていて、

それの胸の谷間の見え具合が

半端じゃねえって感じでした。

 

K子の透けBT区なんて

記憶の彼方に消し飛んでしまいました。

僕が頭の中をいやらしい妄想で

いっぱいにしていると、

お姉さんは「じゃあ付いてきて」

と言ってくるっと背を向けたと思ったら、

もう一度こちらを向いて、

「あーそうそう●●君男の子やからこれ持って」

と言って、

僕の方にユサユサブルンブルンと

近づいてきました。

 

僕が(お、お、おっぱいを・・・?)

と考えていたら

お姉さんのボインがみるみる近づいてきて、

僕の間近でかがむとお姉さんの

髪の毛が僕の首筋に当たり、

甘い香水のにおいがして

お姉さんが「早く~持ってぇん」

と囁いたので、

僕は心の中で

「だめぇ!!K子が見てる!K子が見てるのぉー」と

熱い戦いを繰り広げつつも、

欲望に負けて両手をおずおずと差し出すと

ズシリと重たいおっぱいの感触ではなく、

ズシリと重たい買い物袋が

両手に握らされていました。

お姉さんは「落としたらあかんよー」と言って、

背を向けて歩き始めました

僕がボーっと突っ立っていると

K子はお姉さんの言葉を真似するように

「落としたらあかんよー」

と言って僕を追い越して

お姉さんと並んで歩き始めました

そして前の方で

二人が楽しそうにしゃべり始めました。

しかたなく僕もしぶしぶと歩き出しました。

 

僕たちがやってきたドアを背にして

少し進みとT字路になっていて、

右の方はずーっと並木道が続いており、

正面は木々の間から白い建物が見えました。

お姉さんとK子は左の方に曲がりました。

左の方も並木道が続いていました。

並木道のところどころには

青白い光を放つ街灯が立ってました

 

お姉さんとK子の会話の内容は

大体こんな感じでした

K子「お姉さんの名前はなんていうの?」

お姉さん「わたしはサオリっていう名前なんよ」

K子「お姉さんは何してる人?」

お姉さん「ちょっとカガクの実験してるんよ」

K子「空から降ってきてる白いやつはなに?」

お姉さん「天井のコケが落ちてきてるんよ」

K子「ここってほんとに地下?あれは星空じゃないの?」

お姉さん「あれはコケが光ってるだけ」

K子「ほんまかなあ~?ほんまかな~?」

K子「ここにはお姉さん一人で住んでるの?他には誰かいるん?」

お姉さん「今は私だけかなあ」

K子「お姉さんいい匂いするなあ。香水つけてんの?」

お姉さん「自分で作った香水つけてるんよ」

K子「私も欲しいなあ」

お姉さん「じゃああとで上げるわ」

K子「ほんまー?ありがとう」

そのあとも何か喋ってたようですが、

僕の頭が少しでも早く歩いて追いついて谷間を

鑑賞してやることしか

考えられなくなってしまったので、

そのほかの会話内容は記憶にないです。

 

プチは僕の後ろからずるずると

ひもを引きながら歩いていました。

 

右手の方角には

さっき正面に見えていた

横長の白っぽいアパートのような物が

ずーっと見えていました。

 

明かりがついている部屋は

一つもありませんでした。

 

街灯は相変わらず

ところどころに立っていますが、

大して明るくないので、

アパートがはっきり見えるのが不思議でした。

まるでアパートの自体が光を発してるようでした。

 

僕は周囲の風景に目を取られながらも

どうにか前の二人に追いついて、

ボインをチラッと見ようとしたら、

お姉さんが「●●君はお腹すいてるぅー?」

と聞いてきたので、

僕は「えっと、ハイ、

朝に雑炊(かに味)食べただけなんで腹減ってます」と

答えました。

 

するとK子が

「あたしのクッキーも食べたやろー!」

と怒りました。

 

僕は「ああそうやったっけー?」と言いながら、

ユッサユッサブルンブルン揺れる

お姉さんのボインをチラチラ見ていました。

 

お姉さんはクスクス笑って

「あんたら二人とも仲いいねえ」

と言いました。

 

K子はヘラヘラ笑うと

アパートの方を指差し、

「お姉さんはそこのアパートに住んでんの~?」

と聞きました。

 

お姉さんは

「えーっと奥にもまだあって、

3つ目のアパートに住んでるんよ」

と言いました。

 

やがて並木道を抜けると、

右に曲がってアパートが正面方向に見える状態で

歩き始めました。

 

そして小川にかかった短い橋を渡りました。

覗き込んでみましたが、

生き物はいないようでした。

 

左手の方からはざざーざざーと

波の音が聞こえました。

 

波の音がする方向は真っ暗で、

海があるかどうかハッキリしませんでしたが、

ずっと遠くにも

たくさんの星空(?)が見えました。

 

時おり強い風が吹いて、

地面のコケが波の音のする方に向かって

ツツツーと流れていました。

 

アパートに近づくと、

後ろの方にも同じアパートが

建ってるのが見えました。

 

アパートは4階建てで、

鉄階段が外付けされてありました。

 

ざっと見た感じ、

横8部屋×4階の32部屋で

階段は4つありました。

 

アパートがいくつあるのか

気になったので道の左端に寄ってみると。

 

はるか遠くの方まで

同じアパートが連なってるのが見えました。

一つ目と2つ目のアパートを通り越し、

3つ目のアパートまでたどり着き

2つ目の階段の4階左側の部屋が

お姉さんの住まいでした。

 

そこまで来ると僕はもうしんどくて、

ボインのことなどどうでもよくなり、

ただただ休みたいだけでした。

 

お姉さんはドアを開けて中に入ると

「あんたらも入りー」

と言ったので、

僕とK子は恐る恐る入りました。

 

お姉さんが

「買い物袋はソファーの上において」

と言ったので、

僕は「ああ重かったー」と言って、

そばにある大きなソファーの上に

置きました。

 

中は暖かく玄関は結構広く、

ソファーのほかには、

壁に靴箱が埋め込んであり、

隣に帽子掛けのような物が置いてありました。

そこにプチのヒモを引っ掛けました。

 

お姉さんは

「ちょっと着替えてくるから待っといて。

あんたらの着替えも持ってくるわ」と言うと、

長い廊下を奥の方に走って

角を曲がってしまいました。

 

「着替え」と聞いてしまった僕が

じっとしていられるわけがありません。

 

K子はソファーにもたれて

買い物袋をつまんでくるくる回しながら、

「牛肉とトリ肉と・・・」

などとブツブツ言ってます。

プチも顔を近づけて

フンフン鼻を鳴らしています

 

僕はスっと立ち上がると、

壁にかかってるよくわからない風景の絵を

見るふりをしながら、

早足で奥に向かおうとしたら

フッと左手の方から

寒気を感じました。

 

見ると窓付きのボロ目のドアがあり

そこから冷たい空気が

漏れ出しているようなのです。

 

ドアの上には長めの

かまぼこ板のような物が

打ち付けてあって

汚い字で「しょうちゃんのへや」

と書いてありました。

 

まわりの壁はつやつやの木製で

お洒落な雰囲気なので、

そのドアの存在が不自然に思いました。

 

気になった僕は窓に顔を近づけ

中をのぞいて見ました。

 

中は薄暗くて窓ガラスが汚いせいで

はっきりとは見えませんでしたが

何人かの人らしき物が

うずくまっているようなのが見えました。

 

僕が「K子ちょっと来てみい」と言うと

K子は「どうしたん?」

と言ってからドアに気づき、

窓に顔をへばりつけました。

 

僕が「誰かいるみたいやねん」

と言ってドアをコンコンと叩くと、

K子が「わっ!」と言って

飛びのきましたした。

 

見るといつの間にかドアの向こうに

僕と同じくらいの背の高さの男の子が

無表情で立っているのです。

 

僕とK子がしげしげと見ていると、

そいつが指で何かをつまんで

クリッと回す

ジェスチャーを始めたので、

僕が「開けて欲しいんかな?」と言うと、

K子が「開けてみようか?」と言ったので、

僕はドアの鍵を開けました。

 

するとドアがキキーっと開き、

中から目を細めた男の子が出てきました。

 

その男の子は半ズボンをはいていて、

上は(元は白かったと思われる)

茶色がかった汚らしい半そでのシャツを

着ていました。

 

手足や顔には

血の気がなく不気味なたたずまいでした。

 

その男の子は何も喋らず、

僕とK子も

どうしたらいいかわからなかったので

黙ってると、

男の子はこちらを向いたまま

後ろ手で鍵を閉めました。

 

僕が「えっと…まだ中に人いるんとちゃうの?」

と言うと

 

男の子はニヤーっと

ゾッとするような笑みを浮かべました。

 

するとプチが背後から「グルルー」と

恐ろしげなうなり声を上げました。

 

僕は何かとんでもなくヤバイことを

したような気がして

心臓がドキドキしました。

 

しばらくすると廊下の奥から

パタパタと足音がして

お姉さんが「ハイ着替え持って来たでー」

と言いながら現れました。

 

戻ってきたお姉さんは

ピンクの可愛いパジャマに着替えていて、

ギョッとした表情で周囲を見渡すと

「ちょっとお!!出したんッ!?」と

叫ぶように言いました。

 

それに反応して男の子が

お姉さんの方に振り向くと、

お姉さんは「イヤーッ!!」

と言って僕とK子の為に持ってきてくれた

着替えのパジャマみたいなのを

男の子の顔に投げつけると、

背を向けて逃げ出しました。

男の子もそれを追うようにして

廊下の奥に消えました。

 

奥からはガラスが割れる音や

物が落ちる音がして

何やら激しく争っている様子でした

 

呆気にとられていた僕とK子ですが、

僕はこうしちゃいられねえ!

お姉さんを助けるという

聖的行為の

ドサクサにまぎれて、

おっぱいを揉みしだいてやるぜ!

というすばらしい作戦を思いつきました。

 

(姐さん今行くぜ!!)と心の中で叫び、

奥に向かってダッシュしようとすると、

廊下の角の方から何かが飛んできて、

壁にゴンと当たって落ちました。

 

一瞬勢いを失った僕が、

「なんじゃらほい?」

と近寄ろうとすると、

K子が僕のシャツの袖口を

ギュッとつかんで怯えたような口調で

「クビ・・・クビ・・・」

とつぶやきました。

 

僕が「え?クビ?」と言って

もう一度前方を見ると

今床に落ちたはずの物がなくなっていて、

代わりに血の染みのような物が残っていました。

 

僕が「あれ?今のやつは?血?」と言うと

K子が今度は泣きそうな声で

「手が出た!今そっから手が出た!」

と言って、

何がなんだかよくわからない僕は

「手?あれは血?」などと

わけのわからない反応をしていると、

廊下の角からさっきの男の子が

ゆっくりと現れました。

 

しかし口のまわりは血だらけで、

シャツも腕も血だらけでした。

 

右手には人間の首みたいな物をつかんでいて、

よく見たらそれはお姉さんの顔をしていました。

 

そしてその切断面を

自分の口に押し付けると

ジュルジュルと音を立てて

吸い始めたのです。

 

ニヤニヤした表情で横目で

こちらの方を見ていました。

K子が小声で

「逃げよ・・・早く逃げよ・・・」と言ってきたので、

僕とK子がじりじりと後ずさりを始めると、

そいつはいきなり

お姉さんの首を僕の足に投げつけました。

僕はびっくりして尻もちをついてしまい、

お姉さんの髪の毛が僕の足にくっ付いて、

虚ろになった目を見てしまい

「ふわあああ」

と間抜けな悲鳴を上げてしまいました。

 

その直後、

僕の真横をフッと風が通り抜けたような気がして、

次の瞬間プチが

男の子に体当たりをしていました。

僕はすぐに起き上がると

K子の手を握って

「逃げろ!」と叫び玄関ドアまで

ダッシュで走りました。

 

K子を先に外に出してから、

振り返って「プチー!!」と叫ぶと

男の子が右手にプチの首を、

左手にプチの胴を持って

ブラブラと揺らしていました。

 

僕はプチを殺された怒りや悲しみよりも、

男の子の化け物ぶりの方に

物凄い恐怖を感じました。

僕は「オラー」と叫んで

ソファの上の買い物袋の中身を

床にまき散らしてから、

外に逃げました。

階段を下りるとすぐにK子に追いつき、

二人で必死で地面をめざしました。

 

そしてあと数段で地面に足が着くという時、

階段のすぐそばの地面にいきなり

さっきの男の子が落ちてきたのです。

 

一瞬で先回りされて、

さすがにその時は

「うおをわーー!!」と絶叫して

死を覚悟しました。

 

K子は火がついたように

泣き出しました。

しかしよく見ると

その男の子は4階から飛び降りた衝撃のためか

起き上がれずに、

顔だけこちらに向けて

もがいていました。

僕はすかさず地面のコケみたいな

砂みたいなものをつかんで、

そいつの顔面にぶっかけてやると、

K子の手をつかんで

「走れ走れ!!」

と怒鳴って、

最初に通り抜けたドア

をめざして必死で走りました。

心臓がバクバクと鳴って

今にも倒れそうになりましたが、

気力を振り絞って

どうにかドアの前にたどり着きました。

そしてドアを開けると

元の山の光景が広がっていたので

二人でくぐりました。

 

周囲はだいぶ薄暗くなっていましたが、

雨はやんでいて

風は全く無く穏やかなものでした。

さっきの男の子が

追っては来ないかと思って

後ろを振り向くと、

今通って来たはずのドアが

なくなっていました。

 

ホッと安心した途端に涙がこぼれてきて、

僕とK子とでメソメソと

泣きながら山を降りてると、

僕とK子の母親や近所の人

4,5人に発見されました。

「もうあんたらどこうろついてたんよ?

お母さん心配したんやから!もう!」

とガミガミしかられてから、

僕とK子は

それぞれの母親におんぶされて

山を降りました。

母や近所の人が山を探していたのは、

僕とK子がプチを連れて

山に登っていくのを近所の人が

見かけたからとのことです。

 

家に着くまでの間、

僕はことの経緯を

うわごとの様に話しました。

プチが死んだことも話しました。

母は適当に相づちを打っていましたが

信じてくれたのかはわかりません。

 

それから3日間くらい

僕もK子も高熱を出して

寝込んでしまいました。

 

その間夢の中に

何度かあの男の子が出てきました。

 

熱が引いたあと、

数日前に体験した

異世界での出来事に対して現実感がなく、

あれは全部夢だったのではないか

というような気がしました。

しかしプチがいなくなったという

事実は消えません。

 

そのあと友達何人かと

何度か山に上って

空き地まで行ってみましたが、

いつも吹いていた

強い風はなくっていました。

やがて何ヶ月か経ってから

僕は父の仕事の都合で

引越しすることになり、

K子と離れ離れになりました。

K子の寂しそうな顔は

今でもはっきりと覚えています。

 

それにしてもあのボインの姉さんは

何者だったのでしょうか?

もしかしたらお姉さんは魔女みたいな人で、

僕とK子もあの男の子みたいな

化け物にされていたのかもしれません。

 

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