まだひいばあさんが生きていたころ…
確かまだ幼稚園の頃だったと思う。
ひいばあさんの家があるのは、
観光にも狸を利用しているほど
県内では狸で有名な土地で、
もちろん今でも狸は良く出る。
狸を扱った絵本なども出ており、
俺は狸の絵本が大のお気に入りだった。
ある日、ひいばあさんの家に遊びに行った時、
俺はひいばあさんに聞いてみた。
「狸って化けるって本当?」
「…狸は化けねな」
「えー…」
夢を壊されふてくされかけていたら、
ひいばあさんが続けて言った。
「…狸は化けねども、なんかしかが狸に化ける」
「狸に?」
「…おめ、動物園の狸が化けるのみたこどあっか?」
「なーい」
「…狸は化けね。ケモノっこだもの」
「…化けらァずはバケモノよ。バケモノがケモノさ化けらぁずや」
「バケモノが狸に化けるの?」
「狸だけでね、けづねさも、いたぢさも、いぬさも化ける」
「…人さもな」
「…」
「んだがら○○ちゃん。
おがさんがたのゆごどきがねば、
バケモノよってくど?」
最後の言葉は
俺を戒めるために言ったんだろうが、
どうしても『バケモノはケモノに化けるからバケモノだ』
と言う言葉が、
心に残ってしかたない。
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