俺たちの出た中学校が廃校になると聞いて何となく思い出した話。
中学当時、俺をいじめていたAが、
その日は俺を掃除用具が入っている。
背の高いロッカーに押し込んで蹴飛ばしていたところ、
そのロッカーが突然前に倒れAを押し潰し、
Aはそのまま死んだ。
のちに警察が再現実験を行い、
力任せにロッカーを蹴飛ばしたせいで、
後ろの壁にぶつかり、
その反動で前に倒れこんできたと結論が出た。
中学校にしてみれば事故とはいえ
校内で死者が出たってだけでも大問題なのに、
それがいじめによるものだったとは絶対に認めたくない。
そこで、俺はロッカーの中にいなかったことになった。
「頭が悪く常日頃から乱暴で暴れては
周りに迷惑をかけていたバカが、
“独りで”勝手に暴れた挙げ句に事故死した」
というのが中学校の公式発表で、
バカが事故死したというのは地元紙の片隅にも載ったが、
警察や教育委員会からも、
マスコミからも事故報告書の矛盾点は指摘されず。
間接的ながら俺への暴力も認められ、
遺族は俺を含むクラスメイトに謝罪したし、
現金20万と抜群の内申を用意されたので、
俺も本当のことは黙っていた。
廃校になったのは生徒数の減少が原因で、
この件とはまったく関係がないのだが、
鉄扉一枚下で人間が潰れる感触というのは
二度と味わうことがないだろうなーと思う。
当たり所というか倒れ方が悪かったようで、
正中線てところがちょうどロッカーの角になって、
体の左半分が下敷きになったんだわ。
心臓とか左脳とかが上手く潰れたって話だった。
休み時間で人目は多かったけど、
俺以外にも手を出しててAは嫌われてたし、
学校からかなり厳格に口止めされたこともあって、
ほぼ異存なく無人のロッカーが倒れたことになったよ。
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