じいちゃんから聞いた話。
従軍中、幾つか怪談を聞いたそうだ。
その中のひとつ。真偽は不明。
大陸でのこと。
ある部隊が野営?することになった。
宿営地から少し行ったところに、
古い小さな家が周辺の集落からはずれてぽつんと建っている。
廃屋らしい。
使えるようなら接収するかということで、
数人が調べに行った。
家の中には什器や家具が一部残っていた。
だが、なぜかその全てが真っ二つに割れ、
半分しかなかったそうだ。
テーブル?、椅子、水瓶、かまど、戸棚、何もかもが半分。
おかしなことに、
それらも家同様かなり古いもののように見えるのに、
幾つかの品物の切断面は妙に真新しかったらしい。
調べに来た者たちがその異様な雰囲気に呑まれていると、
一人が家の裏手から鶏の死骸を見つけてきた。
白骨化したそれも半分だった。
戻った彼らはそのことを報告し、
結局その家は使わないことになった。
夜、警戒のため何人かが宿営地の周辺を巡回した。
翌朝になって、
最後に巡回に出た一人が戻っていないことがわかった。
他の者の中に、
夜中にあの家に明かりがついていたと話す者がいて、
すぐに捜索を行うことになった。
民間ゲリラかもしれないからだ。
時機を見て突入したが、
家には誰もおらず、
また火を使った形跡もなかった。
行方不明になった一人は、
昨日鶏が見つかった家の裏手で死んでいた。
争った様子はなく、
着衣や装備にも乱れはなかったが、
部隊に戻されることなくその場で埋葬された。
遺体はひどく小さかったという。
その後まもなく、
部隊は転進命令を受けてそこを離れた。
後になって、
その辺りではあの家が『半分の家』と呼ばれて忌まれ、
昼間でも近づく者はいないという話を聞いたそうだ。
かなり前に聞いた話なんで記憶が曖昧。
ていうか、リア消寝かす前にこんな話すんなよ、
じいちゃん。
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