今から15年くらい前かなぁ。
女のスートカーに一年くらいつきまとわれたことがある。
最初は無言電話だったのだが、
だんだんとエスカレートしてきた。
コンビニで買い物している時、
棚をはさんで真正面から睨み付けている
女の顔を間近に見てしまったこともあった。
自宅のはす向かいの中華料理屋で飯を食っていた時、
ふと視線を感じて入り口に目をやった。
暖簾とドアの間で、
俺のことをジーッと見つめていた。
上が透明になっている磨りガラスで、
目だけで笑っているのが分かった。
マジで心臓が凍り付いた。
俺と目が合ったのを確認すると、
サッと姿を消した。
外を歩くのも怖くなって、
ビクビクしながら歩く日が続いた。
俺はそのころ自宅のすぐ近くにアパートを借りていた。
ある日曜日、ドアをノックされたので出てみると、
その女がたっていた。
怒鳴ると逃げていった。
その日の夜、電話がかかってきた。
あの女だった。
「私の後をつけ回すのはいい加減にして下さいよ。
あなたがすべて後ろで糸を引いている黒幕だというのは
私が一番知っているんだからね。警察に言いますよ。」
もう自棄だった。
「てめえ、今度俺につきまとったら、マジでぶち殺すぞ!!」
その日を境に、俺の回りから女の気配が無くなった。
被害妄想に囚われているということは後で知った。
コメントを残す