家までの帰り道の途中に
一軒のアパートがある。
俺がそこを通る時、いつも若い女の人が
そのアパートの窓からこちらを見ていた。
「俺に気があるのか?」と思い、
手を振っているがまったく反応しない。
そんなある日のこと、
仕事に行く前に朝のニュースを見ていた時、
「自分の家の近くで死体が見つかった」
というニュースが流れた。
その死体発見現場というのが、
帰り道の途中にある、あのアパートだった。
なんでも、女の人が首吊り自殺したんだとか。
そして、その女の人の写真がテレビに映った瞬間、
俺は驚いた。
その画面に映った女の人の写真は、
「俺が毎日、手を振っていた女」
だったのである。
俺がいつも通っている帰り道の方向を向いたまま、
首を吊って死んでいたそうです。
俺は毎日、死体に手を振っていたらしい。
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